記事をご覧いただきありがとうございます。データライド中の人です。
このブログでは、日々さまざまなWebサイトやチャット導線を見ている中で感じたことを、運用者目線で少しずつ発信しています。
チャットボットを導入するとき、多くの企業がまず取り組むのが「よくある質問」のシナリオ化です。
問い合わせ件数の多い質問を整理して、チャット上で答えられるようにする。
料金、サービス内容、導入までの流れ、営業時間、資料請求の方法など、よく聞かれる内容をメニューにしておく。
これはもちろん、とても大切なことです。
ただ、チャットボットを運用している現場を見ていると、少しもったいないなと感じることがあります。
それは、シナリオを作ったところで満足してしまい、その後の見直しが止まっているケースです。
よくある質問だけでは、ユーザーの本音は見えにくい
問い合わせが多い質問をチャットに入れることは、最初の一歩としては正しいと思います。
ただし、それだけでユーザーの疑問や不安をすべて拾えるわけではありません。
実際にサイトを訪れる人は、必ずしも明確な質問を持っているとは限りません。
「自社でも使えるのかな」
「料金以外に費用はかかるのかな」
「導入後に修正できるのかな」
「このサービスは他社と何が違うのかな」
こうした小さな不安は、問い合わせフォームから送られる前に、サイト上で迷いとして出ていることが多いです。
つまり、問い合わせとして表に出ている質問は、ユーザーの悩みの一部でしかありません。
だからこそ、チャットボットは公開してからの運用が大事になります。
自由入力ログには、顧客の生の声が出る
チャットボット運用で特に見ておきたいのが、自由入力ログです。
自由入力ログとは、ユーザーが選択肢を押すのではなく、自分の言葉で入力した内容のことです。
ここには、企業側が想定していなかった質問が出てくることがあります。
たとえば、用意していたシナリオには「料金について」というメニューしかなかったとしても、実際には、
「月額以外に費用はかかりますか?」
「途中でプラン変更できますか?」
「契約期間の縛りはありますか?」
といった、より具体的な不安が入力されることがあります。
これは、かなり貴重な情報です。
自由入力は、ユーザーが実際に気になっていることそのものです。
新しいFAQを作るヒントにもなりますし、サービスページや料金ページの改善にもつながります。
逆に、このログを見ていないと、ユーザーが何に迷っているのか分からないまま運用することになります。
全ページ同じシナリオでは、少し不親切かもしれません
もう一つよくあるのが、サイト内のどのページでも同じチャットシナリオを出しているケースです。
トップページに来た人と、サービスページを見ている人。
料金ページまで来ている人では、知りたいことが違います。
トップページの訪問者は、まだサービス全体を知ろうとしている段階かもしれません。
サービスページの訪問者は、機能や導入方法を詳しく知りたい可能性があります。
料金ページの訪問者は、価格、比較、追加費用、契約条件などを確認したい状態かもしれません。
それなのに、すべてのページで同じメニューを出してしまうと、ユーザーの温度感や目的に合わない案内になってしまいます。
チャットは、ただ設置すればよいものではありません。
どのページで、誰に、どんな案内を出すかが大切です。
実際にあった、運用改善のケース
ある企業では、問い合わせ件数の多い質問をもとにチャットシナリオを作成し、運用していました。
しかし、しばらく経っても利用率が思ったほど伸びず、チャット経由の効果も見えにくい状態でした。
確認してみると、公開後に自由入力ログをほとんど見ておらず、ユーザーが実際にどんな疑問を持っているのか把握できていませんでした。
また、トップページ、サービスページ、料金ページで、すべて同じシナリオを表示していました。
そこで、自由入力ログを確認し、よく入力されている言葉や途中で離脱している箇所を整理しました。
さらに、ページごとにユーザーの目的を分けて考え、最初に表示するメニューや案内文を見直しました。
その結果、チャットの利用数が増え、ユーザーとの接触機会も増加しました。
さらに、今まで気づいていなかった質問や不安が見えるようになり、FAQやWebサイト改善にもつながりました。
チャットボットは、育てていくもの
チャットボットは、問い合わせを減らすためだけのツールではありません。
ユーザーがどこで迷っているのか。
何を知りたいのか。
どのページで不安を感じているのか。
そうした情報を知るための、顧客理解の入り口にもなります。
もちろん、最初から完璧なシナリオを作る必要はありません。
むしろ大切なのは、公開後に利用状況を見ながら少しずつ改善していくことです。
利用率はどうか。
どのメニューが押されているか。
どこで離脱しているか。
自由入力ではどんな言葉が多いか。
こうした情報を見ていくと、改善すべきポイントが少しずつ見えてきます。
チャットシナリオは、作って終わりではありません。
ユーザーの声を見ながら、ページごとの目的に合わせて見直し、より使いやすい導線に育てていくものです。
もし「チャットボットを入れたけれど、あまり効果を感じられていない」と感じているなら、チャットそのものが悪いのではなく、運用改善の余地が残っているのかもしれません。
チャットボットの価値は、導入した瞬間ではなく、運用しながら改善していくことで大きくなっていきます。
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